本日は白シャツについてのマニアックな話。白シャツといっても値段は様々です。どう違うの?どれがいいの?という意見をよくいただくので、生地の見分け方など分かりやすくまとめました。
白いドレスシャツの値段について
まず結論からいうと、生地の善し悪しによるものが大きいです。高額な生地だとシャツも高くなり、安価であればシャツも安いという話。
そもそも洋服の値段とは4つの要因が組み合わさり決定します。
・縫製工賃
・副資材(ボタン、糸、芯地等)
・生地代
この3つに利益があわさり洋服の値段になります。
縫製工賃については、イタリア > 日本国内 > 他アジア圏
このような順で上がる傾向がありますが、他アジア圏でも技術力の向上に伴い一部の日本製よりも高いところも存在し、一概にはいえません。
副資材でも値段は結構変わりますが一番値段の幅があるのが、今回の主題である生地代です。
シャツの生地について
シャツの生地の主流はコットン(綿)かポリエステル。それぞれの特徴はこのような
コットンの特徴
・風合いが良く高級感が出やすい
・防シワ加工がしにくい
ポリエステルの特徴
・風合いが損なわれ安価に見られやすい
・防シワ加工がしやすい
一部のメーカーを除き、現在出回っているシワにほぼならない形状記憶というシャツの多くはポリエステルが入っていることが多く、コットンならではのふっくらとした風合いが損なわれてしまっています。
化学繊維であるポリエステルよりも、天然繊維のコットン100%のものの方が値段を下げにくい傾向があります。その生地代が反映され、コットンシャツのほうが高額になりやすいです。
シャツ生地を構成する3つの要素
シャツ生地を構成するのは大きく分けてこの3つ。これらが組み合わさり生地の値段が決定します。
・繊維(綿花)
・糸の番手
・単糸か双糸
繊維について
繊維とは、糸になる前の綿花のことです。シャツに使われる綿花は長さが20~30mm程度のものですが、35mmを超えるものでつくられたコットン生地を超長綿(ちょうちょうめん)と呼びます。
超長綿が高級とされるのは、糸を構成する繊維が長ければ長いほど、触れた時の繊維の端のひっかかりがなくなり、滑らかな肌触りとなるからです。また光の反射もしやすくなり、光沢も出て高級感がでるのも超長綿の特徴です。
※ちなみにスーツのスーパー〇〇’sという表記は繊維の細さを表していますが、これはウールのみで、コットンやリネン生地では使用されない単位です。
糸の番手について
番手とは糸の細さをあらわすものです。50番手、100番手という風に表記され、数字が上がるほど細くなっていきます。
恒重式(こうじゅうしき)と呼ばれる方式で番手が分けられていて、重さが1,000gの綿を何メートルまで伸ばせるかということです。
・50番手であれば、50,000m
・80番手であれば、80,000m
・100番手であれば、100,000m という風に。
細ければ細いほど肌触りがなめらかになり、しなやかな高級な生地になります。
スーツに合わせるドレスシャツは50~100番手あたりが一般的ですが200番手という超極細糸を使用したシャツも存在します。逆に30~50番手あたりはオックスフォードシャツなどのカジュアルシャツに向いています。
単糸か双糸かについて
生地は経糸(たていと)と横糸(よこいと)により構成をされます。糸は単糸(たんし)と双糸(そうし)と別れています。
単糸は文字通り1本の糸をしようしたもので、2本の糸を使用したのが双糸です。双糸は2本を寄って使用することから2倍の太さの糸になります(50番手の単糸と100番手の双糸は同じ太さ)。
同じ太さでも100番手の双糸の方が光沢感、しなやかさ、丈夫さが増すので高級になってきます。
今回のブログをまとめると、このようになります。
- 繊維が長いほうが高級
- 番手が大きいほうが高級
- 双糸のほうが高級
とはいえ、高級なもの=正解ということではなく、あくまでも自分の着用シーンにあわせた使い分けが大切です。タキシードの中のシャツを選ぶならば140番手を超えるような細い糸を使用した生地がいいでしょうし、普段使いであれば50~100番手双糸で問題ありません。
まずは自身のニーズとシャツを着られるシーンを考えて選ぶといいのではないでしょうか。ご参考にして頂けると幸いです。