スーツ生地には大きく分けて平織りと綾織りと2種類の織り方があります。この織り方により仕上がった生地が大きく変わってきますので、分かりやすく解説します。

このブログを見ていただくと、どういう時にどういう生地を選ぶとよいのかが分かり、スーツ選びがさらに楽しくなりますのでどうぞ最後までご覧ください。

 

目次はこのようになっています。

  • 平織り、綾織りの特徴と違いについて
  • それぞれの優位性
  • 【まとめ】どういう風に使い分けるか

 

 

平織り、綾織りの特徴と違いについて

ここで問題。

Q:冒頭に掲載している生地は平織り、綾織りどちらでしょうか?

…答えは後程。

 

  

さて、平織り(ひらおり)、綾織り(あやおり)と聞くと小難しく聞こえるかもしれません。まずそれぞれの特徴を簡単に説明すると、

 

平織り

  • 縦横に垂直に線が見える
  • ハリ感が出やすい
  • 綾織りより耐久性が出やすい
  • 通気性が良い

綾織り

  • 斜めに線が見える
  • ぬめり感が出やすい
  • 平織りより光沢があり高級感がでやすい
  • シワになりにくい

 

 

平織り、綾織りそれぞれの優位性を詳しく

どちらが優れているかというものではなく、それぞれの適している領域が異なります。

 

平織り

平織りはもっとも単純な織り組織で経糸(たていと)、横糸交互に一本ずつ上下していく織り方でつくられます(図参照)。単純かつ左右対称になるので生地自体が強くなり耐久性が増します通気性が増すこともあり、夏用素材に使われることも多いです(主な素材はオックスフォード、フレスコ、トロピカル等)。

 

綾織り

綾織りは経糸が横糸を2本くぐってから、上に上がってくる織り方。1本ずつ飛ばしているので線が斜めに見ることができます。経糸横糸の交差する面が平織りよりもすくなくギュッと凝縮されているため、光沢感が生まれ、シワにも強くなります(主な素材はデニム、ギャバ、サージ等)。

 

という訳で冒頭の画像答えは、A:綾織り でした。

 

朱子織り

もう一つの織り方に朱子織というものがあり、綾織りと原理は同じで経糸を横糸複数くぐる織り方で綾織りよりも交差する面がさらに少なく、光沢やしなやかな滑りが生まれることからキュプラやポリエステルといった裏地生地や、ドレスにおおい織り方です。

 

 

【まとめ】どういう風に使い分けるか

まず前提として、耐久性や光沢といったものは使用する繊維、糸の太さ種類、仕上げの加工によって大きく異なってきます。なので、まったく同じ糸の状態で比較してという意味です。

 

とはいえ、その他大きな要素があるにせよ平織りであること、綾織りであることで生地の風合いが大きく変わります。

平織りの優位性である通気性、耐久性を存分に発揮できるのは春夏生地。目付(めつけ)が小さくなればなるほど薄く、耐久性が落ちるので、平織りであることにより弱点をカバーすることができます。

綾織りは平織りよりも詰まった生地で、秋冬での防寒性に役立ちます。また光沢感、高級感がでやすいことからもここぞの勝負スーツにも向きやすいです。

 

その他適しているシーンに合わせて、上で示したそれぞれの特性を考慮しデザインされていきます。スーツ選びのご参考にしていただければ幸いです。