英国でもっとも有名な生地のひとつ、Harris Tweed(ハリスツイード)。巷のセールストークでよく使われるハリスツイードという文言ですが、このハリスツイードは生地ブランドというわけではありません。英国にハリスツイード協会という団体があり、そのハリスツイード協会が定める基準を満たしたもののみハリスツイードと呼ぶことができるのです。

1846年につくられはじめた伝統的な織り方のハリスツイード。温かみのある風合いの生地でふっくらとした立体感があり、高いクオリティを誇っています。生産量の半分以上が日本での消費と、国内でもたいへん人気がたかいです。

ですが、近年日本では嘘っぱちともいえるハリスツイードが出回っています。ハリスツイードとは協会の承認のもと名称を使用できるという前提があります。その協会が定めるルールの中に、”英国王室御用達”であったり”手紡ぎ”という表現が使用できないというもの、また本物のハリスツイードを50%以上使用していない商品(ボタンや縁飾り、裏地を除いた)にはロゴの使用が認めらないというものがあります。

つまり、バッグやブーツ、洋服の一部にハリスツイードを使用してロゴを上から張るといったものは明らかなルール違反です。そういった商品がおおく出回ってしまっていて、ロゴに踊らされた結果です。

この50%ルールは安価なハリスツイードを減らす目的もあるでしょうが、作り手の立場からすると本当に良いものを実感して味わってもらうためには一部使用したハリスツイードでは不十分だと考えているからではないでしょうか。ハリスツイードの良さをもっと知ってほしい、実際に着てほしい、そんな職人の思いがこのルールを作ったのではと考えています。