先日の靴職人の話をもとに、靴や革のことを詳しくブログにまとめていきます。本日は紳士靴の醍醐味であるアッパー(甲部分)とソール(底部分)の革について。

 

 

ANNONEY(アノネイ)

アノネイはフランスのタンナー(なめし革業者)でデュプイという会社とともに革のフランス2大ブランドで高品質な革をハイブランドにも提供していることで知られています。

よく雑誌やブランドの説明で、「アノネイの革を使用しています」と書かれることがあります。これはアノネイ=高品質→高品質な靴ですよ、というポジショントークなのですが、どのブランドの革においても等級(とうきゅう)といってグレードに差があります。革においては1級、2級、3級、4級…と分かれていて、1級のものが最も高品質です。1級の割合は2~3%程度で100枚革があるとするならわずか2、3枚程度。半裁(はんさい、牛を背中心で2つにわけた状態)で6足程度の靴ができるので600足中、12足程度しか1級の革を使用したものはありません。

職人曰く、1級と4級の違いは革の厚みと”しなやかさ”であるといいます。1級の革は厚みがあり、しなやかで柔らかい。4級だと薄くなるのと革に固さがあり足に馴染みにくいのだそうです。当然1級のものが高価になり、さらにヌメ革は黒の革の1.4倍くらいします。これはヌメ革だとキズがごまかせないため、本当に良い原皮以外使えないからです。

 

ちなみに当店のオーダーシューズで基本オプションで使用しているのもANNONEY(アノネイ)社の革。顔料仕上げの黒い革VOCALOU(ボカルー)と、ヌメ革ののVEGANO(ヴェガノ)です。当然等級は1級(どうしても仕入れれない場合は2級の良いところだけ)のものを使用しています。

 

CHARLES F STEAD( チャールズ F ステッド )

スウェードレザーといえば、この会社と呼ばれるくらいに、有名なイギリスのCHARLES F STEAD( チャールズ F ステッド )。スーパーバックと呼ばれるスウェードレザーは銀付き革と呼ばれる革の表面を残しているのが特徴の革です。スウェードは床面という革の裏面部分をサンドペーパーで起毛させ仕上げていますが、銀面は残さないものも多く見受けられます。銀面を残すことはコストアップになりますが、その分しなやかで丈夫になります。

 

さらにチャールズ F ステッドでは毛足を短くし、発色が綺麗なのも魅力で、高級靴ブランドであるEDWARD GREEN(エドワード グリーン)や(Crockett&Jones)クロケット&ジョーンズの上位ラインでも使用されている革ブランドです。

 

 

Joh.Rendenbach.jr(レンデンバッハ)

Joh.Rendenbach.jr(レンデンバッハ)ドイツの高級底材として靴好きの間で有名なブランドです。レンデンバッハの底材は、オークバークと呼ばれる原皮の状態からオークバークタンニンで鞣されたものです。皮から革にする鞣し(なめし)の工程において手間がかかるのがタンニン鞣しです。

 

 

レンデンバッハと双璧をなすのは、最高級ビスポーク靴に使われるJ&F.ベーカーのオークバークくらいと最高品質の底材になります。レンデンバッハの特徴は耐久性の高さと馴染の良さ。イタリアの革を使用した底材に比べて最初は固く感じるかもしれませんが、履いていくにしたがいタンニン鞣しによるしなやかさが生きてきます。削れにくいので長く履き心地の良さを実感して頂けるのも魅力的です。裏のJRというロゴも格好良い。

 

以上、ANNONEY(アノネイ)のスムースレザー、CHARLES F STEAD( チャールズ F ステッド )のスウェード、Joh.Rendenbach.jr(レンデンバッハ)の底材をご紹介しました。最近の革の値段の高騰(ヨーロッパの食牛文化の減退、需要の増加が原因)により高品質な素材を手に入れることが難しくなってきました。