クラシック回帰とよばれ数年。その影響で最近ではスラックスをベルトではなく、サスペンダーで留める方も一部でてきて、雑誌やInstagramなどでも見かけるようになりました。サスペンダー(Suspenders)は洋服の本場英国ではブレイシーズ(Braces)、過去日本ではズボン吊りと呼ばれていました。呼び名が違うだけで同じものと捉えて問題ありません。

スラックスへの留め方はボタン式とクリップ式があり、ボタン式の場合パンツの裏側にサスペンダーボタンをつけておく必要があります。クラシックなのはボタン式で、手軽なクリップ式の場合スラックスを痛めてしまうからです。

 

サスペンダーのメリットは、ウエスト位置が固定されることです。著名な服飾評論家、故落合正勝さんもベルトによりウエストがずれて位置を直す仕草は見苦しいものだとベルトを否定しています。また支点が肩になるため、肩からヒップ、裾に向けて綺麗なスラックスのシルエットを形成することができるのもサスペンダーの魅力でしょう。

逆にサスペンダーのデメリットは、扱いずらさです。ボタン式にする場合、スラックスにボタンをつける手間が発生しますし、用を足すときにもジャケットを脱ぐなどの手間が発生します。肩からさげるので肩こりにも影響してしまいます。歴史を辿るともともとサスペンダーが主流であったのが、現在のベルトで留めるかたちへと移行したのも、この手間が一番の問題であり簡略化の方向になったのだと考えられます。

 

ただし、シルエットのきれいさ、コーディネートのポイントとなりお洒落にみえることからも、食わず嫌いすることなく是非一度試していただきたいのがサスペンダーです。また歳をかさね、お腹がでてしまった方にもお勧めです。綺麗にシルエットがうまれ、ひとつの個性として昇華させてくれるアイテムになることでしょう。