オーダースーツを仕立てる上で大切なフィッティング(サイズを測ること)。数字だけでなくその方の体型をうまく捉える必要があります。肩で着ることが大切なジャケットであれば、特にショルダーラインに関して繊細にならなければなりません。

”なで肩”か”いかり肩”かの補正はわかりやすいです。数多くフィッティングをしていると色々な体型の方に出会い、一人として同じ体型の方はいらっしゃいませんでした。地面に対して平行に近いくらいいかり肩の方や、僧帽筋(首の横の筋肉)が発達し急ななで肩の方など様々です。

いかり肩の補正がされていないジャケットを着ると、首の後ろ部分にツキ皺と呼ばれる地面に対して平行なシワがうまれます。これは肩に対してジャケットのショルダーラインの角度が急すぎるため、肩部分が上に引っ張られ縦の布が余ってしまうため起こる現象です。

反対になで肩は襟の後ろが抜ける(身体に対して浮いてしまう)場合や、ショルダーラインにボコッとした凹みがうまれる場合があります。これはショルダーラインの角度が緩すぎることにより肩から腕部分の生地が下に引っ張られ、襟やショルダーに歪みが生じてしまうのです。

これを解決するのが体型補正であり、パターン(型紙)上で首付け根部分(オーダースーツ用語ではN点と呼ぶ)を上下させショルダーラインの角度を調整することで解決させます(※いかり肩やなで肩が原因である場合)。上下させるパターン操作や数値は私たちの腕の見せ所の一つであり、その方の体型をうまく捉えることがオーダースーツにおいて大切なのです。