オーダースーツを作るうえで、もっとも大切な生地選び。同じサイズ、同じデザイン、同じ色で作ってもスーツの仕上がりが大きく変わってきます。本日はそんな生地選びのご参考にして頂くべく、代表的な3つの国の生地について特徴や違いを分かりやすくご紹介します。

 

 

代表的な3つの国

生地作りにおいて代表的な3つの国は、イタリア、英国、日本です。それぞれに特徴があり、目指すべきスーツが違ってきます。もちろんイタリア生地でも英国的なもの、英国生地でもイタリアに寄せたものなど全てにあてはまるわけではありません。

ですが、多くはその流れを汲んでいるため一つの目安にしていただければと思います。

 

 

イタリア ~鮮やかで豊かな色合い~

イタリア生地の特徴:ソフトで柔らかく肌触りが良い、色鮮やか、光沢感
主要ブランド:エルメネジルドゼニア、ヴィターレバルベリスカノニコ、ロロピアーナ、ビエレッシ

イタリアのビエラ地方は生地の聖地と呼ばれ、おおくの生地の生産工場がおおく存在します。これはビエラ地方の水に関連してます。生地作りには多くの水が使われますが、カルシウムやマグネシウムが多い硬水は色素を減少させたり、沈殿物を発生しやすくなり生地作りには向きません。逆にビエラ地方は、硬水のおおいイタリアではめずらしい生地作りに適した軟水のため、発展を遂げていきました。

 

また経糸(たていと)双糸、横糸単糸といって、横糸を一本の糸でつくるブランドがおおく、肌触りがソフトなものが多いです。またスーパー表記を提示するブランドも多く、繊維の細さにもこだわるため、光沢を感じていただけるのもイタリア生地の特徴です。

またソラーロと呼ばれる生地もイタリアならではの風合いです。

デメリットとしては、繊維が細いものもおおいため毎日着用するようなシーンにはむかず、耐久性が高いわけではないということです。

 

 

英国 ~堅牢かつクラシック~

英国生地の特徴:堅牢かつしなやか、色はベーシックなものが多い
主要ブランド:ハリソンズオブエジンバラ、スミスウールンズ、Wビル、ダローデイル

イタリアと双璧する生地ブランドの産地、英国はイタリア生地とは間反対の位置づけをとります。イタリア=軽い、英国=重いという表現があるくらい、ソフトさよりも堅牢さを英国生地は重視しています。

英国紳士という言葉の通り、流行よりもクラシックさ。色柄も古くから存在するヘリンボーンやグレンチェック、バーズアイなどが多く取り入れられています。生地も縦横ともに双糸をつかわれることがおおく、耐久性に優れ、スーツにしたときに映えるものが多いです。

デメリットとしては、重さを感じてしまったりイタリア生地よりも生地の値段が高額になる場合が多いです。

 

 

日本 ~折衷、フォーマル強し~

日本生地の特徴:イタリアと英国の中間の位置づけ、色はベーシックなものが多い、黒の強さ
主要ブランド:DOMINX、御幸毛織

洋装文化の歴史が新しい日本は、イタリアと英国のハイブリッド的な位置づけの生地を多くそろえています。イタリアの軽さと英国の耐久性、うまく折衷することで差別化を図っています。落ち着いた色合いのものがおおく、シャドーストライプの豊富さなど日本文化にあわせたデザインの生地が多いです。

また、他国にない礼服文化をもっており、黒の深さはイタリア、英国の比ではありません。礼服などを作られる際は日本の生地が世界一です。

日本生地のデメリットとしては、色柄、表情の乏しさが挙げられます。

 

 

生地のまとめ

いかがでしたでしょうか。イタリア、英国、日本それぞれの生地の特徴と違いをまとめました。

イタリア:柔らかく色鮮やか
英国:堅牢で仕立て映えする
日本:礼服などに適した黒の展開

生地選びのご参考になれば幸いです。