オーダースーツにおいて選ばれることの多いデザインである本切羽(ほんせっぱ)。本切羽とは袖口についているボタンホールが開閉するか否かです。逆に開閉しないような飾りのステッチを開き見せ(あきみせ)といいます。(袖にボタンがついた理由はかの有名なフランスはナポレオンがロシア遠征中に、寒さに凍える兵士たちが袖口で鼻をすするのをやめさせるためだそう。※諸説あり。)

ボタンの開閉できたところで現在機能的な意味合いはほとんどありません。昨今カジュアルスタイル以外でスーツのジャケットをまくるなんてことはほとんどしないからです。イタリアナポリでオーダースーツをつくると開閉のない”開き見せ”仕様となるくらい、海外では重要度は低いディティール。

基本オプションで本切羽仕様にしています。開き見せにすると縫製コストが安くなりますがオーダー金額は変わりません。

理由は本切羽のほうがこだわりを感じさせるデザインであるから。私は袖口の一番端のボタンを外していることが多いのは、そこに適度なリラックス感が生まれ、オーダースーツ作りにおけるこだわりを見せることができるからです。

開き見せが悪いわけではなく、本切羽に対して手間暇がかからない、お直ししやすい以外の優位性を感じないことから、最初から本切羽を基本デザインとして採用しています。